この度、令和3年度液化石油ガス設備士の国家試験を受け、1発で合格しました!
筆記試験は自己採点をしてみると、法令が13/15問、配管理論等は17/20問正解。技能試験は試験日10日前からスタート、作った工作物は計6つ、45分で作成できるようになり、無事合格にたどり着きました
技能は苦手で、電動ねじ切り機も使ったことないし、時間内にこんなのできるか!と初めは思いましたが、何とかなるもんです・・せっかくなので、液化石油ガス設備士試験について一通りまとめましたので、今後受験される方のお役に立てたら光栄です
液化石油ガス設備士の申し込み方法
液化石油ガス設備士を取得するには、講習会に参加する方法と国家試験を受ける方法があります。国家試験は、高圧ガス保安協会のホームページより申し込むことが可能です
高圧ガス保安協会-国家試験申し込みページ
www.khk.or.jp
申込受付時間は、8月下旬から9月上旬。令和3年度は8月23日(月)~9月8日(水)。筆記試験の試験日は11月上旬、技能試験は12月上旬。令和3年度は筆記試験が11月14日(日)、技能試験が12月5日(日)でした
今回、東京会場で受験をしましたが、液化石油ガス設備士の受験者は50名程度でした。第二種販売も同会場の受験で、圧倒的に二販受験者が多かったですね
液化石油ガス設備士のテキスト
液化石油ガス設備士の国家試験で関係するテキストや書籍は4つです
液化石油ガス設備施行マニュアル 3,450円
液化石油ガス設備士試験問題と解説 2,310円
液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法規集 3,670円
液化石油ガス法概要 設備士編 870円
第二種販売の資格を持っているなら、「液化石油ガス設備士試験問題と解説」だけ買っても、筆記試験は突破できるかと思います。筆者は4冊すべて購入しましたが、「液化石油ガス法概要 設備士編」は全く使いませんでした・・
筆記試験の学習の進め方
テキストの使い方としては、「液化石油ガス設備士試験問題と解説」にて過去問をやり込み、不明な点は「液化石油ガス設備施行マニュアル」や「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法規集」をみて、理解を深める方法が良いかと思います
毎年毎年出題される問題の傾向は変わらないので、過去問を満点がとれる程度にやり込むことが、対策としては最短でベストな方法かなと思います
法令問題の傾向
法令なので「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法規集」に答えがすべて載っている訳ですが、この法規集は取っ付きにくく問題の答えを探すのに非常に苦労します
なので、大まかなことが纏まっている「液化石油ガス法概要 設備士編」に一度目を通した上で問題を解くのも手かと思いますが、「液化石油ガス設備士試験問題と解説」の法令問題を何度も解いて、知識を「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法規集」にて補完する方法で十分合格点が取れました
令和3年の法令出題傾向
1.法の目的と用語の定義 ----- 1題
2.供給設備の技術上の基準 ----- 2題
3.バルク供給に係る供給設備の技術上の基準 ----- 2題
4.保安業務 ----- 1題
5.消費設備の技術上の基準 ----- 3題
6.特定供給設備の技術上の基準 ----- 1題
7.液化石油ガス設備工事 ----- 1題
8.液化石油ガス設備士 ----- 2題
9.特定液化石油ガス設備工事 ----- 1題
10.特定ガス消費機器の設置工事の監督に関する法律 ----- 1題
法令問題のポイント
過去問をみると以下の問題が良く出題されており、この点を中心に勉強を行いました
◎ 液化石油ガス法の目的
◎ 供給設備の貯蔵能力の違いによって必要な措置や設備
・バルブの損傷を防止する措置、火気距離
・警戒標、さく、へいが必要となる貯蔵能力
・耐圧試験、気密試験、調整、閉そく、消費の各圧力
・保安物件からの距離
◎ 保安業務区分
◎ 液石法規則第44条
◎ 液化石油ガス設備工事となる供給設備の貯蔵能力
◎ 液化石油ガス設備士の免状と受けなければならない講習
配管理論等の出題傾向
講習の筆記試験と国家試験の筆記試験とで、問題が若干異なるようです。令和3年度の液化石油ガス設備士の国家試験を受ける上では、配管記号と圧力損失は覚えなくても良かったので、講習より国家試験の方が、筆記試験は楽かもしれません
因みに、過去問4年分をみてみると、図面の書き方と戸別供給方式の圧力損失の問題は一切出ていないので、切り捨てました。一切勉強しませんでした!
令和3年の配管理論等の出題傾向
令和3年の配管理論等からは以下の19分野から出題され、複数の分野にまたがる問題も見受けられましたが、分野分けをざっくり行うと、以下のような出題傾向となりました
1.物理・化学の基礎知識 ----- 2題
2.LPガスの基礎知識 ----- 1題
3.LPガスの燃焼と爆発 ----- 1題
4.LPガスの容器・バルク容器・バルク貯槽 ----- 1題
5.調整器・ガスメーター ----- 2題
6.圧力計・気化装置・安全機器及び既設配管の補修・修理 ----- 2題
7.配管材料 ----- 1題
8.鋼管などの加工法 ----- 2題
9.配管用のフレキ管工法 ----- 1題
10.ガス用ポリエチレン管工法 ----- 1題
11.図面の書き方 ----- 0題
12.戸別供給方式 ----- 1題
13.集団供給方式 ----- 1題
14.バルク供給方式 ----- 0題
15.配管の腐食・損傷の防止 ----- 1題
16.設備の検査・点検・調査 ----- 1題
17.燃焼器 ----- 1題
18.給気及び排気 ----- 1題
19.特定ガス消費機器の設置工事 ----- 0題
以上、全20問となる
配管理論等のポイント
筆者はガス工事の業務に触れたことがないので、フレキ管やポリエチレン管、工具ついての問題は取っ付きにくく、「液化石油ガス設備施行マニュアル」を読んでもいまいち理解できませんでした
読んでもよくわからないところは、過去問を解いて覚え、似た問題が出題されれば解ける程度の対策を行いました。以下のところが、抑えられていれば良いかと思います
◎ プロパン、ブタンの化学式や組成
◎ アボガドロの法則、ボイル-シャルルの法則
◎ 自動切換式調整器のシグナル
◎ マイコンメーターの機能、検定有効期限
◎ 調整器の調整圧力範囲
◎ 各圧力計のマノメータと比較校正の周期
◎ 埋設部で使えるガス管と使えないガス管の種類
◎ フレキ管の残す山数
◎ コールドタッピング、ホットタッピング
◎ 集団供給設備の標準設置本数
◎ マクロセル腐食とミクロセル腐食、アノードとカソードの違い
◎ 気密試験の圧力保持時間
◎ 特定ガス消費機器に該当するガス機器のガス消費量
計算問題については、難しい計算を要する問題は出ない印象を受けました
ボイル-シャルルの問題は取っ付きにくいが、解き方さえ理解できれば解ける問題。また、配管の距離を求める問題は、配管の図を見て、長さの足し引きをすれば良いだけなので、公式は面倒なので覚えませんでした
逆に、集団供給設備の標準設置本数は式を覚えました。問題にある数値を式に当てはめれば解ける問題なので、確実に得点源にできる問題です
技能試験について
液化石油ガス設備士はだれでも受験できるとはいえ、技能試験に必要な工具や練習の観点から、敷居が高い試験に感じます。工具も揃えないと減点の対象となるとの事なので、注意が必要です
技能試験に必要な工具
技能試験会場に筆者が持参した工具は以下の通り
なお、試験会場の都合により別途持参しなければならないものがあるので、LPガス協会から届いたお知らせ等にはよく目を通す必要があります。筆者は電工ドラムと段ボールを別途持っていきました
・パイプバイス
・ねじ切り機
・ねじ切り油
・電卓
・メジャー
・マジック
・ワイヤブラシ
・ウエス(雑巾)
・シールテープ
・パイプレンチ(2個)
・モンキーレンチ(1個)
・セーバープロⅡ
・漏洩スプレー
技能試験の対策
兎にも角にも練習あるのみ!YouTubeに非常に参考になる動画が上がっております
手際よく作られていて凄いですね、こんなに上手に作れませんが、それでも筆者は合格できました。作り方も同じです
(引用:川口液化ケミカル株式会社)
試験当日、上記の図面が渡されます。ホワイトボードに各A~Dの寸法が書き出されて、試験開始という流れでした
技能試験の製作の流れ
筆者は以下の要領で製作を行いました
1、A~Dの寸法より鋼管を切断する寸法を求める
A-34cm、C-32cm、D-35cm
2、A、C、Dの切断とねじ切りを行い、シールテープを巻く
3、Aにエルボ、ニップル、ユニオンのねじ込み
4、D、Cの順で同様に組み立て、Cにティーをねじ込み
5、ユニオンからティーまでの長さを図る
6、Bの鋼管の切断とねじ切りを行いシールテープを巻いて、テーにねじ込みユニオンで締め込む
7、ホース口を取り付ける
8、8.4以上10kPa以下でセーバープロⅡで気密試験2分行う、漏れていなければ完成
ガス業界素人でも、液化石油ガス設備士は頑張ればなんとかなるもんです!